アンズ先生 第4話漫画画像

第4話 ママ薬剤師でも転職できますか?

子どもができたとわかったら

小さい子ってかわいいですよね。

そうね、昨日も待合室から手を振ってくれたりして。

でも、大人といろいろ違う分、患者さんとしては気を遣う部分も。

家に幼児がいるときは間違って薬を飲まないようにする工夫もいるわね。
手の届かないひきだしにしまっておくよう子ども連れの患者さんに頼むこともあるわ。

わぁ、そういう視点ってママ薬剤師ならではですね。
子育ての経験も薬剤師の仕事に生かせますか?
わたしはいま未婚ですが……。

わたしの場合、より患者さんへ親身になって調剤できるようになった気がする。

親身になって……ですか。

ご家族のことまで含めて患者さんの症状を考えるようになったの。
ほかにも子育て中の経験や子どもの言葉に気づかされたことって多いわよ。

へぇえ、子どもの力ってすごいんですね。

でもねー、疲れることもあった。
なにしろ小さい子どもを三人も世話しながら働いてたんですもの。

でしょうねえ。

喜びもたくさんあった分、悩みも多かったわ。
一人目の妊娠がわかったとき、まず産休をどうするかで悩んで。

あ! 薬剤師でも産休は取れるんですか?

母性保護といって、妊娠中の従業員のために事業主が取るべき措置が、法律で定められているの。
これは正社員、パートといった区別にかかわらず、労働者すべてに対してのものよ。

では、働き方にかかわらず薬剤師も対象になるということですね。

労働基準法では、従業員の産前6週間・産後8週間に当たる期間は、働かせることができないことになっている。だから、勤務先に申請すれば薬剤師でも産休を取ることはできる。

なら安心しました。

出産後にママが利用できるおもな公的制度については、母子健康手帳にも記載があるので、そちらで確かめることもできるわよ。

それでも産休が始まるまでは妊婦のまま働くことになるんですかぁ。
自分やお腹の赤ちゃんの体調が、ちょっと心配だな……。

妊娠中の体調管理は職場にも配慮してもらうことが重要よ。

産休予定がまだ先でも、妊娠がわかったら早めに職場へ報告したほうがいいってことですね。

それに、忙しくても遠慮しないで、きちんと妊婦検診に通うことも大事。
男女雇用機会均等法で妊婦は検診のための休みを取れることになっているから。

検診で成長のようすがわかると、会える日が楽しみになりそうです!

同じく男女雇用機会均等法の中で、マタニティハラスメントに当たる行為や、妊娠や出産を理由にクビにすることも、禁じられているの。

うんうん、母体を守るための法律……ちゃんと知っておきたいです。

もし妊娠がわかったら、体調、出産予定日、産休と育休の計画などについての相談を、職場の上司などと早めに始めることも心がけて。

妊娠中は体に負担をかけないことも自分から気をつけたいです。

参考:
厚生労働省「男女雇用機会均等法/育児・介護休業法のあらまし」(東京労働局HPより)

 

育休か転職か ママ薬剤師の分かれ道

妊娠がわかったら、産休をとって職場に残るか、やめて転職するかを考えますよね。
アンズさんの場合はどちらにしたんですか?

わたしの場合、出産と育児に専念するためにいちど退職し、数年置いてから転職したの。

育てながら働くってやっぱり簡単なことではないんですねえ。

――ここでアンズ調査ファイルの登場!
薬剤師の人数について調べたデータがあるわ。 それによると、最近の薬局・医療施設で働く女性薬剤師の人数は、39歳以下が約4割、40歳以上が約6割となっている。

30代以下と40代以上で約4:6の割合ということですね。

出産や育児で忙しくなる人が多いはずの20‐30代のほうが少ないってこと。
つまり、女性薬剤師もこの時期に仕事を離れて子育てに勤しんでるケースは多いみたい。

わたしだったら、出産で職場を離れるより、産休を取って仕事を続けたかなぁ。

うちは夫が医師だから、担当患者さんより子どもを優先して、とは言いにくかったのよね。

子育てしながら仕事を続けられるか、仕事を離れたほうがいいかって、周りの環境ともかかわってくる問題なんですね。

そうそう。あと、もちろん自分のキャリアプランも関係してくるでしょう。
将来、薬局のオーナーや管理的立場をめざしているかどうかでも事情が変わってくる。

わたしの知り合いにも、小さい子を持つママの薬剤師がいるんですけど。
出産時にもやめずに産休・育休を取ったおかげで早くマイホームが手に入ったと言ってました。

住宅ローンの有無も判断材料の一つになるわね。
ほかにも出産前後の職場の状況、夫の収入、育児に祖父母が協力的かどうか――……。

人によって事情は違うから、自分で判断しなくちゃならないんですね。

続けるにしてもやめるにしても、はっきりした意思確認が必要なタイミングと言えるわね。

あわわ、なんだか出産と育児って経験すると気持ちまで鍛えられそう。

一人で抱え込まずに、まずはパートナーや周囲と相談してみることがいちばんよ。

アンズさん、こんどは知り合いが取っていた育休制度について教えてください!

育児休業は子の出生の後、原則として一歳になるまで取ることができる決まりになっている。
また、ママかパパが一歳までの育休を取っていた場合で、さらに延長の必要が出てきた場合には、申し出により1歳6か月まで延ばすことが認められているの。

正社員じゃない場合でも育休は取れるんですか?

パートタイマーなど期限付きで雇われている労働者でも育休を取ることはできるわよ。
でも取得にはいくつか条件がある。現在働いている勤務先に一年以上雇用されていること、子の一歳の誕生日後も一年以上働く予定になっていることなど。

育休を取れるのは母親だけなんですか?

いいえ、法律上はパパ・ママどちらも取得可能よ。
でも実際はママが取る場合がほとんどみたい。

生活費のことを考えると、両親ともに休業というわけにはいきませんものね。

厚生労働省の調査によると、最近の民間企業における育休取得率は、女性が約8割であるのに対して、男性はまだ1割に満たないそうよ。

ふぅん、パパ一人や、パパ・ママ両方で育休を取るご家庭はやっぱりめずらしいんだ。

でも、父親と母親が協力することによって便利に活用できる制度もある。 パパ・ママ育休プラスという制度では、ママとパパの育休期間をスライドさせながら組み合わせることで、本来は子が一歳になるまでの育休期間を、1歳2か月まで伸ばすことができるのよ。

生まれてすぐの間はママと過ごして、途中からパパにバトンタッチ。
赤ちゃんのうちからたっぷり両親とふれ合った思い出を作れますね!

ええ。所得損失の問題も、比較的年収の高い薬剤師ならクリアできるから、おすすめの制度よ。

ママ薬剤師が働いて、会社員のパパに育休を取ってもらうパターンもありえますね。

この制度はほかにも便利な使い方があって……。
たとえば一歳から保育園に入園申請をしていても、もし定員がいっぱいで入れなかったら、一歳以降も待機児童ということになってしまうでしょう。

考えてみると、予定の育休期間のうちに預け先が見つかるとは限らないですもんね。

そんなときには、両親の育休期間をスライドで調整して、育休期間を子が1歳6か月になる時点まで延ばすことができます!

親子水入らずの暮らしの延長期間にすることができるんですね。
保育園の定員に空きができたり、代わりの預け先が見つかったりするまで。

ただし、この延長が認められるためには、子の一歳の誕生日の二週間前までに申請することが必要になる。一歳を越えてからあわてて希望しても制度の対象にはならないので注意して。

それでも育休って最大で1歳6か月になるまでしか利用できないんですね。

育休後にママが使える制度として短時間勤務制度というのもあるわ。

あ! 知り合いも、以前、お子さんのために時短勤務をしていると言ってました。

育児・介護休業法では、子が3歳になるまで親が労働時間を一日6時間にできることも定められている。その分、お給料は減ってしまうけれど、子どもと過ごす時間をゆったり取ることができるわ。

6時間なら、朝9時に勤務開始して夕方4時には職場を出られます。
夕食時まで余裕をもって保育園のお迎えに行けますね。

同じ法律に、3歳未満の子を持つ親は、時間外勤務を免除してもらえる規定もあるわよ。

こんな制度を知っていれば、出産後の職場復帰の不安も減らせそうです。

そういうこと。でも法律って、現場での運用では規定どおりにいかないことも多い。

……育休や時短勤務をめぐって問題が起きる可能性もあるってことですか?

育休の希望を伝えたところ望んでいないのに退職を勧められた、時間外勤務の免除になるはずの期間も多忙のせいで残業の仕事が続く、などのケースが考えられるわ。
2016年に成立した改正育児・介護休業法では、これら育休にかかわるハラスメントについても、労働者からの相談に応じて事業主が防止体制をとらなくてはならないことが定められたの。

うーん、でも現場では、すんなり解決しないこともありそう。

上司との話し合いだけで解決しきれないときは、人に相談してみましょう。

子育てと仕事の両立に関する問題はどこに相談したらいいですか?

男女雇用機会均等法、育児・介護休業法についての行政の窓口は、各都道府県の労働局雇用均等室となっているわ。

参考:
〈薬剤師数について〉
厚生労働省「平成26年 医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」統計表4「医療施設従事医師・歯科医師数、薬局・医療施設従事薬剤師数及び構成割合の年次推移、年齢階級、性別」

 

〈育休制度について〉
厚生労働省「平成27年 雇用均等基本調査」事業所調査 図4 育児休業取得率の推移
※直近3年間(平成25‐27年度)の育休取得率をそれぞれ平均
厚生労働省「【平成29年1月1日施行対応】育児・介護休業法のあらまし」Ⅱ‐4 育児休業の期間1‐休業期間‐、Ⅺ‐8 育児休業等に関するハラスメントの防止措置
厚生労働省「男女雇用機会均等法/育児・介護休業法のあらまし」(東京労働局HPより)
厚生労働省「有期契約労働者の育児休業取得推進に向けて」(東京労働局HPより)

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