ふぇぇん、アンズさぁーん。
……これはカオリさん?
この泣きそうな声はなにごと?
アンズさんが調剤室に立った間に、スマホから薬剤師転職サイトを見てたんです。
ええ。それで何か困ったことでもあったの?
いいえ、登録はスムーズにできました。
ならいったい?
魅力的な求人情報が多すぎて、つい目移りが止まらなくなって。
あらあら。
この職場は雰囲気よさそう、こんな勤務地で働けたらかっこいい――。
出てくる求人情報がどれもよく見えてとても一つに決められません。
なるほど。
薬剤師転職サイトの知識は付いたものの、まだカオリさん自身の希望がまとまっていなかったせいで、青い鳥を追い求めはじめてしまったというわけね。
青い鳥?
転職先への希望をもっと具体的にしておけば、検索結果がだいぶ絞りこめるはず。
そ、そうですよね。
カオリさんの希望条件を確認してから、希望を満たす求人先を検索するという順序にすれば、すばやく自分に合った求人先を見つけることができます。
……何だか、希望が多く浮かびすぎて、頭がいっぱいになってしまいそうです。
だったら、とっておきの秘策があるわよ。
なんですか?
そういうときは、あらかじめ転職先への希望を書くシートを用意して書くの。
おぉーなるほどー。
この方法なら、たった一枚のシートを書くだけで、検索がぐぐっとスムーズに。
また転職エージェントにも登録後速やかに希望を伝えることができるようになるわ。
いわば薬剤師転職サイト用“検索準備シート”といったところね。
さっそく自分で作ってみまーす!
ありがとうございますアンズさん!
自分で作るってカオリさ……あら、また待合室に行っちゃった。
ふぇぇん、アンズさぁーん。
――また調剤室に戻ってきたわ。
アンズさん、やっぱりシートの作り方も教えてくださーい。
作る記入欄の種類は? 欄の仕切り方は? 書く内容の決め方は?
あら大変……ちょっとカオリさん。
まぁまぁ、そんないっぺんにしようと思わないで。
順番に必ず教えるから、落ち着いてちょうだい!
“検索準備シート”は薬剤師が転職先に望む条件を書くためのシート。
手書きでもワープロ機能使用でもいいので次の職場への希望を書いてみて。
では、待合室のソファで書いてみます。
・・・・・・・・・。
――けっこう時間がかかってる? 隣を覗いてみようかしら。
(カリカリカリカリ)
何を書いて……わっ! もう紙がぎっしり!?
えーと、あと近所にお友だちとランチに行けるおしゃれなフレンチレストランがあって、駅ビルに趣味のいいブティックが入ってて、それから雰囲気のいい本屋さんと併設のカフェもあって、将来のことを考えたら職場のすぐそばに保育園と小学校も……
――職場への希望を書くはずが、いつのまにやら虫のいいぜいたくに。
あれ、アンズさん、何かおっしゃいました?
カオリさん、新しい職場への夢が限りなくふくらんでいるようね。
はい! せっかくの転職なので理想の職場を見つけようと思います!
うふふ。でも、これは薬剤師転職サイト用の“検索準備シート”なので、まずは薬剤師転職サイトの標準的なチェック項目にしたがって記入欄を作ってみましょうか。
えぇー、わたし、そんなの覚えてませーん。
まずシートに「薬剤師○○が転職先に望む条件」とタイトルを付けます。○○には自分の名前を入れてくださいね。
えぇと「薬剤師カオリが転職先に望む条件」……っと。
そうしたら、さっき薬剤師転職サイトへの登録が済んだと言ってたでしょう。
登録済みの転職サイトの求人検索チェックボックスをもういちど見てみて。
……あ、いろいろ検索条件を指定する機能があるんですね。
薬剤師転職サイトの種類によって、指定できる検索条件には、若干の違いがある。
でも、だいたい標準的なチェック項目というものは決まっているの。
ここのサイトだとはじめは希望の「勤務地」をドロップダウンリストから選択する形式になっています。
ええ。はじめは、勤務地、雇用形態、業種、希望年収を入力させることになっているサイトが多いので、シートにもまずその4つの記入欄を作りましょう。
えーと勤務地、雇用形態……それでぜんぶですか?
最後に「こだわり」という項目を作って上記4つ以外の希望を記入します。
はい――結局、新しい紙に書きなおしになっちゃった。
勤務地、雇用形態、業種、希望年収、こだわりの5つの記入欄ができた?
できました!
ではこうしてできたシートに、次はカオリさんの希望を書いていきましょう。