来るなり首を傾げたりして、どうしたの?
いつもと少し待合室の雰囲気が違うような。
――あっ壁のリースが増えてる!?
ちょっぴり模様替えしてみたの。
そうだったんですか、かわいいですね。隣どうし並んで同じリースが二つ
こっちの一個は娘が作ったの。
隣にあるわたし作のリースをお手本に、ね。
へぇー薬でいうならジェネリック薬みたーい。
ただしアンズのリースに特許はありませーん。
先日、切り替え可能な薬を飲んでいる患者さんがいたので、ジェネリック薬のご案内をしました。そうしたら、お医者さんに切り替えを相談してみるって
中には元の薬のままが安心と言う患者さんもいるけれど……
あ、お勧めの際は、細心の注意を払いたいとは思ってるんですよ!患者さんの体に影響が出ないことが肝心ですから。
ジェネリック薬(後発医薬品)という用語、近ごろは一般にもずいぶんと浸透してきた印象があるわね。では、ここでカオリさん。「ジェネリック薬とは何か」について説明してちょうだい。
わわ、いきなり!?えーと、ジェネリック薬とは、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に販売される、有効成分や効能、臨床試験の結果などが新薬と同等になるようにして作られた薬のことです。
はい、よくできました。多くの新薬が特許切れを迎えた2010年を機にジェネリック薬への注目度が高まったと言われているわ。では、ここでアンズ調査ファイルを確認してみましょう。
ジェネリック薬では、新薬というお手本があるから、いちから開発するより時間や予算をかけなくて済むんですねぇ
しかも新薬より価格を抑えて設定するルールになっているので、新薬に比べて安く購入できるの。ジェネリック薬では3割以上、製品によっては5割以上安くなるわ。
でも、自分が薬局でもらっている薬に必ずしも対応するジェネリック薬があるとは限らないんですよね?
ええ。
一例を挙げれば、ジェネリック薬を販売していいのは新薬の特許が切れた後だから、特許期間の残っている薬だったらジェネリック薬はないわ。特許期間は通常20年から25年。
厚生労働省の調査によれば、日本でのジェネリック薬のシェアは数量ベースで22.8%(2011年9月)ですって
気になったらお医者さんや薬剤師に相談してもらうのが確実ですね。
ジェネリック薬など、薬の世界には次々と新しい動きが出てきているのね。
調剤薬局にも、近ごろは一昔前では考えられなかったような、新しいタイプの店舗がどんどんできている
わわ、新型の薬局ってどんなのか、気になります!
それでは今回は、近年登場してきた新業態の調剤薬局について見ていきましょう。
カオリさんの転職先さがしのヒントにもしてもらえると思うわ。
お休みの日にショッピングに行くことはあるかしら、カオリさん?
はい、お友だちと駅ナカや駅近に服を見に行ったり……
でもそれと新型の薬局の話の間に、どんな関係が?
近年、地方公共団体やデベロッパー(開発業者)による都市の再開発が進み、駅周辺や繁華街など人がたくさん集まるところに、高層のオフィスビルが新規開業するケースも増えてきた。
オフィスビルの大半の部分に入居しているのは、企業の事務所などのオフィスだけれど、多くのビルは同時に飲食店や店舗をテナント(賃借者)として受け入れ、商業施設としての面も併せ持っている
ふーん、会社やお店がマンションみたいに集合してる建物なんだぁ
そしてオフィスビルの中には、テナントとして調剤薬局を入居させているものがある。
たしかに、見たことがあります。
……あ、もしかして、オフィスビルの調剤薬局が、新型薬局!?
えぇ。オフィスビルという立地ならではの特徴を活かして営業している薬局よ。
たとえば、ビルのオフィスで働く人や、ビルへ買い物や食事で訪れる人の利用が多いこと、など。
賑やかそう。
でも、オフィスビルの調剤薬局というと、処方せんはどこから持ち込まれるんでしょう?
同じビルに診療所が入居している場合も多いようだから、基本的には同じ建物内や近隣の医療施設からだと思うわ。ほかに買い物客などが建物外から訪れるケースもあるでしょう。
会社員中心のオフィスビルで、薬局勤務!
ビジネス感覚が養えそうなのも魅力ね。
ところで、ショッピングといえば、ふだんの買い物をするようなスーパーマーケットの中で薬局を見かけることがあります。
このごろは店内で医薬品販売や処方せん受付をするスーパーが出てきたわね。
買い物中に白衣の人を目にする機会も増えてきた。
食料や雑貨の買い物とまとめて薬の購入まで行うことができて、利用する人にとっては便利かと。
……でも、スーパーの薬局で働いている薬剤師の雇用って、いったいどうなっているんでしょう?
スーパーの薬局には実はいくつかタイプがあるの。
(1)スーパーにテナントとして個人薬局やチェーン薬局が入っている
(2)スーパーの売り場にスーパーの一部として薬局が置かれている
前者では薬剤師を雇用するのは個人薬局やチェーン薬局、後者では薬剤師はスーパーの自主雇用ということになる。さらにチェーン薬局がスーパーのテナントになっている場合、チェーンどうしの関係が提携関係か系列関係かという違いが見られる。
ふむふむ。
将来の安定のためにも、提携関係は長く続いてほしいもの……
給与や勤務時間といった雇用条件も、それぞれの雇い主の定めによって違ってくるわけですね。
見た目の働き方は似ていても、よく見ると少し違うというわけ
転職を希望するわたしにとっては、待遇や研修、昇進の体系に、勤務先によって大きな差が出ないかも気になる点です。
とくに薬剤師にとっては、異業種のスーパーに雇われる場合、気になるところよね。でも、本部勤務/店舗勤務、管理薬剤師/一般薬剤師など、採用方式や本人のキャリア、担当業務によって、スーパーならではの特色ある役職が置かれているようよ。具体的には薬剤師転職サイトのキャリアコンサルタントに相談したり、勤務希望地に店舗のあるスーパーマーケットの薬剤師勤務条件を調べたりする方法をお勧めするわ。
スーパーの薬局だったら、きっとお客さんが地域の医療機関からたくさん処方せんを持ってくるんだろうな
一方、中にたくさんのテナントを含む大型スーパーの薬局では、同一建物内にあるクリニックなどの門前薬局になっていることも。かと思えば反対に、店舗によっては、処方せん受付を行う薬局は置かず、OTC薬販売のみを行う医薬品売り場になっていることもある
やっぱりスーパーの薬局でも、ふつうの薬局同様、店舗ごとに調剤の環境は違うんですね。
それだけに一概に言えることは少ないの……。
でも、広い地域に展開していることの多いスーパーマーケットチェーンだけに、多彩な環境での勤務を経験できる可能性が高いのは、大きな魅力ではないかしら。