第6話 新型、融合型、伝統的、気になる変わりダネ薬局について聞けますか?

異業種との協力で、薬局と地域がより身近に

今はオフィスビルやスーパーの薬局で、薬を受けとったり買ったりすることができる。
お薬もふつうの商品と同じようにショッピング感覚で買うことのできる時代になってきたんですね。

地域の人びとと薬のかかわる機会が増えた分、ますます慎重に薬の安全について伝えなくてはならない時代になった、とも言える。
さて、ショッピング感覚といえば、カオリさんは医療モールということばを聞いたことがあるかしら?

いりょうもーる??
お洋服のお店ばかりが集まったショッピングモールかな?

そっちの“衣料”ではなくて、医者の医で“医療”!!

わっ!!

医療モールとは、複数の医療施設や調剤薬局が一か所に集まって開業している施設をさす。

もしかして、数百にのぼる病院や薬局がずらりと立ち並ぶ近未来型医療都市ですか、アンズさん?

いいえ、医療モールというものはそこまで大規模なものではないの。
主流のタイプは診療科の違うクリニックが3-4施設集まってできたもの。
薬剤師がどうかかわるかというと、その医療モールの中には、敷地や施設の中に調剤薬局を抱えたものがある。

“門前薬局”どころか、医療モールではクリニックと調剤薬局が“同居状態”にあるわけですか!

確実に医療モール内のクリニックから処方せんが持ち込まれるのだから、薬剤師にとっては調剤の方針をはっきりさせやすくなるわね。
同じ建物・敷地にあるのだから、医療機関と調剤薬局の間の連携も取りやすくなるし。

しかも、一つではなく複数のクリニックと同居状態なので、点分業に留まることもない。
医療モール、薬局にとってのメリットはいっぱいですね!

患者さんにとっても、いちどの外出で複数科目の診療と薬の受け取りができて、なんども出かけなくて済むメリットがある。

うーん、でもきっと都心に多いんだろうなぁ……

地方の医療モールはまだ数が多いとは言えなさそうね。けれど、ここ数年、調剤薬局チェーンやデベロッパーの手がける医療モールの開業が全国であいついでいるようなの。

医療モールに限らず、地域における医療のターミナルとして機能するような場で働けたら、きっといきいき働けますね。

一か所にクリニックや調剤薬局が固まっている医療モールでも、調剤行為のすべてが医療モール内だけで閉じているわけではないはず。
転職先さがしでは、周辺地域の状況も視野に入れながら、考えていくのがいいと思う。

……言われてみれば、調剤薬局の業務って、周辺の環境とかかわりが深いですもんね。

地域とのかかわりという点でいうと、最近はコンビニ一体型薬局なんていう、めずらしい店舗も出てきているのよ。

一体型なら、お客さんが薬局から出ることすらなくお買い物ができますね、便利!

コンビニエンス・ストアはもともと商品として食品や飲料、日常雑貨とともに化粧品やサプリメントを扱っていて、薬局との親和性が高い。
薬とほかの品の買い物がいっぺんにできるという点だけならドラッグストアにも言えること。でも、扱う商品の種類がより豊富なコンビニとの一体型薬局なら、より日常の買い物がしやすいわよね。

コンビニ一体型薬局なら、ちょっとした買い物は決まってコンビニを使う、というお客さんに「かかりつけ薬局」にしてもらいやすくなる利点もありそうです。

それに、通院状況にかかわらず日常の買い物に利用できる点では、薬局よりコンビニのほうが接するチャンスが多い。
でもカオリさん知ってた?
実は数で言えば、近年はコンビニより薬局の数のほうが多いの。

えぇっ本当ですか!?

ほら、わたしのファイルを見て。
2013年度の薬局数は57,071施設(厚生労働省調べ)。一方、2013年度のコンビニ数は49,930軒(日本フランチャイズチェーン協会調べ)。(※数値は各年度末のもの)
約7,000も薬局数が上回っているの。

しかも、約57,000ある薬局の一部が一体型としてコンビニと融合しているんですねぇ。

調剤薬局という専門性の高い施設が、コンビニという身近な存在に溶けこむことで、社会の中でより敷居の低い場になることをめざしていることがわかる。

薬局が溶けこんでゆく……。
あなたの町にも、わたしの町にも、いつのまにかドロドロと……きゃーっ!!

いきなり大きな声を出さないの。
とはいえ、薬局数の全体から見れば、コンビニ一体型薬局の数はまだ少ない。

「コンビニが近くにある薬局」という条件ならたくさん見つかるんでしょうけどね。

もっとも、今後のコンビニチェーンと調剤薬局チェーンの業務提携の進展によっては、既存の調剤薬局と地元のコンビニの間に新たな協力関係が生まれる可能性だってある。

ところで、コンビニといえば、24時間営業が特徴ですが……

一体型では、併設している薬局とコンビニが、それぞれ異なる営業時間で開店している形が大半を占めているようよ

ではコンビニ一体型といっても、必ずしも薬局が24時間体制というわけではないんですね。看護師さんみたいに薬剤師にも夜勤があるのかと思って、少しドキドキしちゃいました。

とはいえ、いざというとき必要な薬がない!……という事態は患者さんにとっては困るもの。
医療機関である調剤薬局には、曜日や時間を問わず処方せんを受け付けてほしいという要望も常に付きもののはずよね。
厚生労働省も、2014年1月公表の「薬局の求められる機能とあるべき姿」の中で、薬局の開局時間について、他の薬局と連携して休日・夜間の対応が可能である体制を整備すべきとしている。また、24時間対応可能な体制を整えることは、より望ましいとしているの。

薬局にもコンビニのようにいつでも開いている日がいつかは……?

患者さんにとっては理想的ね。
わたしたち薬剤師にも、コンビニ店員や看護師や介護士のように、夜勤があって当たり前の日が遠からず訪れるかもしれないわ。

〈参考資料〉
厚生労働省資料「薬局の求められる機能とあるべき姿」(別添)(概要)(2014年1月公表)

専門性アップで広げる、薬剤師転職の可能性

オフィスビル、スーパー、コンビニ……
最近は町の身近なところに薬局の進出があいついでいることがわかりました。

元から見慣れた存在と融合していることで、利用者にとっても立ち寄りやすく利用しやすい薬局になっているといえるわね。

だけど……えーと、転職活動中のわたしとしては――
ハッと注目してもらえるような、かっこいい薬局のことも知りたいです。

イメージのことはさておき、専門性の高い薬局のことならお話できそう。
たとえば、主に漢方薬を扱う漢方薬局というものがあるわ。

漢方薬局、あぁ、ありますね!

時代小説に出てくる薬種商のように、店内にずらりと生薬の入ったひきだしが並んでいるようすは、かっこいいと言えるんじゃなくて?

ふえぇん……
専門外の漢方のことは、葛根湯の名前くらいしかわかりません。

自然の動植物を干したり煮出したりして、薬や薬の原料として利用しているものを生薬という。この生薬が漢方薬の原料になるもの。
民間でもよく知られているものに大黄や甘草などがあるわね。ちなみにわたしの名前「アンズ」は、漢方に詳しかった祖父が生薬の一種である杏仁から取って付けたのよ

あれ? ということは、漢方薬局では、完成品の薬をわたすだけじゃなくて、薬局で薬を作ることまでするのかな?

生薬を原料として作られる一般に漢方薬として知られるもの。
法的な分類の観点から見て、これらはおおまかに三タイプに分けられる。
1)処方せんを元に投薬される既製品の医療用漢方薬
2)漢方薬で行われるカウンセリングをもとに薬局で製剤される漢方薬
3)OTC薬として市販されている漢方薬

あっ、三タイプのうち二つめは、漢方薬局で作られるものですね。

えぇ。漢方薬には伝統的に用いられている決まった処方があって、それに沿って生薬を調合するかたちで製剤が行われるの。

漢方薬局への転職をめざす場合は、通常の調剤業務だけでなく、漢方薬の処方や効能に関する知識がいるんですね。

応募条件は店舗ごとに異なるはずだけれど、漢方関係の職に今まで就いたことがないのなら、あらかじめ漢方に関する勉強をしてから応募したほうがいいと思うわ。

応募の際、自分が漢方の知識のある薬剤師だとアピールするためには、どうしたらいいですか?

いちばん的確な方法として、漢方の認定薬剤師資格を取る方法がある。
「漢方薬・生薬認定薬剤師」という薬剤師向けの資格があるので、この資格の特徴を挙げてみましょう。

うわわ、メモするので待ってくださーい……

パソコン用の画像

このほか、漢方の資格には、一般向けの民間資格がある

ふむふむ……

パソコン用の画像

一般向けの資格なので、認定薬剤師ほど強く専門性をアピールできるわけではないものの、漢方の知識があると伝えることには役立てられるはずよ

転職を機に、専門性にいっそう磨きをかけたいと考えている薬剤師は、要チェックですね。

薬剤師全体の数からいえば、漢方薬・生薬認定薬剤師の数はまだごくわずか。
でも、健康への関心の高まりから、医師や薬剤師に西洋医学の見地のみからではなく東洋医学の考え方も取り入れたアドバイスが受けたいというニーズは年々高まっていると考えられる。
漢方薬局への転職を考えている薬剤師だけでなく、本来の専門以外の知識を身に付けることでよりきめ細かな服薬指導を行いたいと考えている薬剤師にも、こうした漢方薬の資格は充分に活用できるものだと思うわ。

薬剤師としての専門性、かぁ。
今までは日々の調剤業務でせいいっぱいで、そこまで考えたことはなかった気がします。

カオリさんはたしか薬剤師4年めなのよね。
最初の数年は通常業務に慣れることがいちばんなのだから、専門性はこれからでも大丈夫

自分に合った転職先を見つけるためには、どんな薬剤師になりたいかが、まず自分でわかってないといけないんだろうなって……。
頭ではわかっているつもりでも、いざ見つけようとすると難しいです。

たとえばカオリさんはおしゃれが好きだったわよね。
調剤薬局やドラッグストアの中には化粧品販売を行っている店舗もたくさんあるわ。

……あ、薬と化粧品ってカウンセリングが必要なところが似てます。

医薬品と化粧品は、日本標準産業分類において小売業の中で同じカテゴリーに属しているなど近縁性がある。
化粧品にも詳しい薬剤師になれたら、活躍できる場だって今よりずっと広がるのではないかしら。

健康だけでなく美容の観点からも服薬指導できる薬剤師か……。
うん、すてきかも!!

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薬剤師の転職どうぶつ診断

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